式貴士(しき・たかし)という作家を御存知だろうか? まは、フツーのひとは知らないだろうと思う。それはそれで仕方がないことだ。1991年に急逝し、彼の本のほとんどは今は絶版になってしまっているのだから。
話はちょっと逸れるが、早川(書房)から『日本SF全集・総解説』という本が出ている。タイトルだけ見るとまるで本当に日本SF全集が存在するかのようだが、これが実はまったくの架空のものなのである。『総解説』で紹介されている本は「どこそこの出版社で出ている(或いは出ていた)本で読んでね」という具合なんである──で、この本には計43人の作家が紹介されているが、何と式貴士は誰かと抱き合わせではなく、ちゃんと彼だけで1巻として紹介されているのである。これだけでも式貴士という作家の重要度がおわかりいただけるのではないだろうか。エロ・グロ・・・これにナンセンスが加われば筒井康隆になるのだが、式貴士はナンセンスのフレーバーはあんまり持ち合わせていなかったようで、そこがふたりの決定的な違いでもあるようにも思う。じゃあ逆に式には何があったかというと、ロマンティックさだと僕は思う。十分にイヤラシイ話をそれだけでは終わらせないのは、彼ならではの才能だ。
という訳で、格好のタイミングで光文社文庫から『カンタン刑』が発売された。式貴士名義としての(彼はいくつもの筆名で本を出していた)最初の短編集と同一タイトルではあるが、今回発売になったのは新たに編まれたアンソロジーで「式貴士 怪奇小説コレクション」という副題が付されている(単行本未収録アリ。そのあたりはこちらのサイトをチェック)。今回紹介された作品は彼の硬質なラインのものであり、僕的にはあまり得意なものではないのだが、「以下続刊」を願うファンとしてはやはり買わない訳にはいかなかったのである。
「連想トンネル」や「見えない恋人」などのロマンティック路線も再び読めるようになるよう、是非皆さんにも散財していただきたい(しつこいようだが、あんまり女性向きの作家ではないので念のため)。
2008年02月08日
やっぱり、新しい『カンタン刑』も買った
posted by ぐらうくす(=urbane) at 20:54| Comment(0)
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